IPA理事ブライアン・アシュレイさんと

 この秋、IPA(International Play Association 子どもの遊ぶ権利のための国際協会)の理事ブライアン・アシュレイ氏が来日されました。

 同氏はIPAの創設にも関わられたスウェーデン在住の社会学者・教育学者で、遊び場を始め子どもを取り巻く社会的環境の改善に向け、大きな実績を上げてこられた方です。また、今から約20年前にIPAスウェーデンのプロジェクトとして、障害のある子どもと他の子どもが一緒に楽しめる公園をつくり、最近では同国で障害児も遊べる冒険遊び場づくりにも携わられたそうです。

 ある方の計らいで、来日中のブライアン・アシュレイ氏とお話をする機会に恵まれ、多様な子どものための遊び場に関する海外の動向をお伺いしました。

 イギリスなどの各国で政策と絡みながら広がりを見せる、誰もが遊べる公園づくりの情報をいくつか教えていただく中で話題に上がったのは、子どもの権利について。
 欧米では、人々の間に「権利」に対する認識が浸透しているので、もし誰かの権利が侵害されているとなれば社会が敏感に反応する。また「すべての子どもが遊ぶ権利を持っている」「子どもは自分たちを取り巻く環境について意見を述べる権利を持っている」といった主張も、比較的理解されやすい土壌がある。一方、日本では文化や歴史的背景の違いもあり、「権利」、しかも「子どもの権利」となるとなかなか本質が理解されにくいのかもしれない、といった話になりました。

 別れ際にブライアンさんは、穏やかな中にも確信のこもった声で、次のような言葉をかけて下さいました。
 「日本で誰もが遊べる公園を広めるには、自治体や政府への働きかけと同様に、障害がある子どもや親への働きかけも重要なのだと思います。成長に大切な遊び場から一部の子どもたちが排除されている現状と、工夫次第でその遊び場に彼らも加われるのだということに、多くの人が気付く必要があるでしょう。頑張って下さい」

 このホームページがそのことに少しでも貢献できれば、と願うと同時に、自分たちの活動をあらためて考え直す機会となりました。