私事ですが、先日入院生活を経験してきました。ほんの8日間ですが、色々勉強することができました。いつも人間ドックに引っかかり、「しまった!」と後悔している私ですが、入院するのはなんと28年ぶり。たいした病気でもなく、切れば治るということでおきらくな私は、心の準備も心配もせず、たくさんの本を抱えて病院の門をくぐったのでした。(実際門はありませんでしたが・・・。)
まずは、病棟の看護師さんの説明を受け、これから手術室の看護師さん、麻酔科のドクター、主治医と半日かけて様々な方々が来られるとのこと。おきらくな私もだんだん不安になっていきました。麻酔科のドクターはとても若くて優しい感じのイケメン?の先生でした。今回全身麻酔ということもあり、とても丁寧に詳しく説明してくださいました。説明の内容もさることながら、「この先生に麻酔をかけてもらうのなら安心。」と思わせる10分間でした。「たった10分で初対面の人間にこんな安心感を与えるとはすばらしい!ドクターにしておくにはもったいない。」などとわけのわからない身勝手な感心の仕方をしていると、次に手術室の看護師さんが来られました。病室を出てから手術室までの移動についてくわしく説明してくださいました。なにせ元気な患者なので、自分で歩いてエレベーターにのり、手術室の前室でストレッチャーに乗るとのこと。それから、手術室へと向かうという手順をわかりやすく丁寧に教えてくださいました。ストレッチャーや車椅子で手術室へという勝手な思い込みがあった私は(テレビの見すぎ?)自分で歩いていくというところにちょっと安心感を覚え、「そうだ。たいした病気じゃなかった。」ということを思い出したのでした。
手術当日。9時からの手術ということで、8時半過ぎには病室を出発。予定通り看護師さんと一緒にエレベーターで手術室へと向かいました。前室でストレッチャーに乗った瞬間「えっ!」風景の変化に戸惑い思わず周りをきょろきょろ。そのとき感じたのは「あれっ?見たことある。」看護師さんの説明の際に、手術室までの様子をすべて写真を見ながら説明をうけたことを思い出しました。手術室に入っても、写真のとおりの部屋で、ちょっと不安な感覚はあったものの一度見たことがあるという経験はとても自分を安心させるに重要なものでした。
無事手術も終わり(全身麻酔なので、次に気づいたときは病室だったので何も覚えてはいませんが)、看護師さんが「痛いですか?」と尋ねてくれましたが、まだぼんやりしていて何を答えたのやらはっきりしません。でもそのときに見えたのが、「フェイススケール」そのとき病棟の看護師さんが説明してくれたことを思い出しました。痛みの度合いを笑った顔から泣いている顔まで6段階の表情で表している表の説明があったことを・・・。
長くなりましたが、私たちが日頃している支援でよく言われる「視覚支援」や「客観的指標」などの意味を身をもって体験した入院生活でした。普段、障害を持っているからこういった支援が必要と思ってしまいがちですが、だれにでも優しい支援が本当の支援なんだなと実感させられた出来事でした。UDも高齢者や障害者、子供といった限定された人のためだけではなく、多くの人に優しいデザインだと頭ではわかっていても、やっぱり人間実感しないとだめだなと、あらためて反省し考えさせられました。ついついこの障害にはこれ!とか、このパターンだったらこれ!という単純な発想が多い自分の行動の根本的な間違いに気づいた、とても痛い入院生活でした。これから新年度が始まりますが、この経験を生かしてがんばらなければと気合を入れ直している今日この頃です。