コラムNo.09 刺激いっぱいの校外学習

 久々のコラムになります。私事ですが、今年度から知的障害部門小学部に移り、6年生の担任をしています。今回は、6月に行った行事で感じたことを書いてみたいと思います。 
 先日、校外学習に行きました。行き先は「岡山後楽園」。ご存知の方もおられるかもしれませんが、日本三名園のひとつといわれる名園で、とても広々とした落ち着いた雰囲気の場所です。とても良い所なのですが、私が勤務する養護学校からはかなり遠く、列車と路面電車を乗り継いで2時間弱かかります。でもみんな乗り物大好きだしということで、修学旅行の練習もかねて行ってみることにしました。

 下見、事前学習、最寄りの駅までの歩行などを重ね、いよいよ当日の朝となりました。乗り物が好きな子どもたちも、列車に長い時間乗る経験はあまりなかったので少し緊張した面持ちでしたが、それよりも期待感の方が大きく、元気よく出発することができました。駅までの坂道を下りながら(学校から駅までは、15分ほどの下り坂になっています。)、「電車乗ろうなぁ」「お弁当楽しみじゃなぁ」などと言いながら、ワクワクドキドキ。坂に反比例して気持ちはどんどん上り坂。列車の中では、窓の外を見たり、路線図を見たり、思い思いに過ごしながらも、飽きることなく楽しく過ごすことができました。

 駅に着くと、学校の最寄りの駅とは大違い。たくさんの列車、階段、人、掲示板、その他もろもろ、いろんな刺激がいっぱい。おまけに自動改札を通るので緊張感もMAX。でも、予想以上にみんな落ち着いていて、難無く駅を通過することができました。次は、路面電車の乗り場に移動です。駅前の大きな噴水に引き寄せられ、ちょっと見物。大きな横断歩道を渡って路面電車を待ちます。さっきまで乗っていた列車とはちょっと違った路面電車。ホームも違えば、乗り方、列車の中、お金の払い方もまったく違います。しかも、道路の上を走ってる!!やっぱり子どもたちは、窓の外に釘付け。信号待ちのバスの乗客に手を振って楽しんでいました。お金を料金箱に入れて無事下車。今度はホームから地下道をくぐって道の反対側に渡ります。こんな階段学校にはないぞ。と思ったかどうかはわかりませんが、暗い地下への階段もみんなで下りれば怖くない。広い道路をくぐって、後楽園へと向かいます。

 後楽園までは、川沿いに進み大きな橋を渡ります。目の前にあるのは全長100m以上ある大きな橋。高さもかなりあります。こんな長い橋を歩いて渡ることは初めて?「この橋揺れてない?」「大丈夫!でも、先生が乗ったからかなぁ?」と不安を感じながらも、川に浮かぶ水鳥や白鳥のボートを見ながら渡りきることができました。やっと後楽園の入場口に着き、狭い通路を通り抜けると、パッと目の前に広大な庭園が開けます。「わぁー」思わず子どもの口から感嘆の声があがります。

 園内でお弁当を食べ、築山に上り、鯉にえさをやり、丹頂鶴を見たあと、タクシーに乗って駅に向かいました。駅に着いてさぁ列車へ。でも、今度は自動改札で、切符を入れるだけでなく取らなくてはいけません。早く取ってという先生の声と改札の音、音だらけで何がなにやら・・・。

 ところ変われば何とやら。子どもたちにとっては刺激いっぱいの楽しい校外学習でした。刺激に対する反応は人それぞれで、簡単に良し悪しでは片付けられませんが、普段、私たちが何気なくこなしてしまっていることも、子どもたちの目線で考えたり、見たりすると、本当に刺激って多いんだなぁと感じました。
 また今回の校外学習で一番実感したのは、子どもたちの元気さと明るさでした。列車、路面電車、タクシー、後楽園、トイレetc・・・。どんなところでも、「こんにちは!」「ありがとう」といろんな人に自分から声をかけていっぱい話をしていました。これぞホントの“バリアフリー?”