先日、修学旅行に行ってきました。新幹線に乗って一路東京へ。様々な方々にお世話になり、感謝でいっぱいの3日間でした。新幹線の車両も最新のN700系ということで生徒たちも大喜びでした。今回はその新幹線の中で感じたことを少し書いてみたいと思います。
生徒の体調の関係で、(ご存知の方もあると思いますが)11号車に設置されている多目的室という個室にいたときのことです。(11号車は車椅子スペースがあったり、ドアも広かったりと、障害者に配慮された車両になっています。)N700系は最新車両ということで、デッキ部分もとてもおしゃれで明るく、きれいな空間に仕上げられています。多目的室は、座席がベッドにもなり、休憩や授乳、その他文字通り多目的に使うことのできる個室になっています。ちょうどデッキ部分の乗降口を挟んで、多目的室と多機能トイレが左右に並んでいるのですが、入口はどちらもまるくカーブした曲面でよく似た外観になっています。
多目的室のドアを閉めて中にいると、何度もノックの音がします。たいていはトイレと間違って叩いている人でした。「よく似ているからなぁ」と思いながらドアを開けて見ていると、あることに気付きました。多機能トイレのドアにはピクトグラム(絵文字)で、男女のマーク、車いすマーク、オストメイト対応マーク、赤ちゃんマークが並んで表示してありますが、「トイレ」という文字は見当たりません。「これ、本当にトイレ?」と戸惑う人もいるようです。
もうひとつ気付くことがありました。なんと、半分以上の人がトイレのドアを閉められず四苦八苦しているのです。この入口は、壁に設置されたボタンで操作する電動ドアになっていて、手で開閉することはできません。でも、ドアには非常用として手動開閉する時に手をかけるためのくぼみが付いているので、ほとんどの人がそこに手をやり、一生懸命閉めようとしています。思わず「ボタンで閉めてください」とおせっかいにも声をかけましたが、お年寄りの方は、そのボタンの場所もわからず、結局一人では閉めることができませんでした。他の職員も、「うちのおばあちゃんも、あれはよう閉めんわー(岡山弁?)」と、つぶやいていました。(トイレ内部の開閉ボタンは、カーブした入口側の壁面ではなく車両側面の壁側に2箇所付いています。)
新しい車両で、新しい装備も取り入れ、広く充実しているトイレなのですが、使い方などが伝わりにくいために、その機能や便利さが十分生かされていない気がしました。また、障害者に優しいあまり、その他のお年寄りや一般の人たちには、逆に使いにくいという場合もあります。もちろん一般の人は対応できる幅が広いので、それほど問題はないのかもしれませんが、みんなに必要な情報を伝えるという観点から見ると、まだ工夫の余地があるように感じました。
「誰にでも優しい」「誰にでもわかる」は、簡単なようで、とても難しいことだと思います。情報の量や質は、整理し、吟味していかなければなりませんが、まずは、確実に相手に伝えられるということが一番大切です。「伝えるって大切だけど、むつかしいなぁ」と感じさせる光景でした。
このことは私の仕事にも一番重要なことのひとつなのですが、まだまだできていないなぁと、結局自分に帰ってきた修学旅行でした。