コラム
前のページへ戻る
「コラムNo.01:ユニバーサルデザインについて」
倉敷芸術科学大学芸術学部
柳田宏治

  私たちの毎日の生活は、「デザイン」の影響を強く受けています。生活の質は製品、サービス、環境や情報などのデザインが、利用できるものであるかどうかに大きく依存しているのです。私たちの社会を構成する人々のデザインを使う能力は非常に多様で、年齢の違いや障害の有無、さらに怪我や病気などによる一時的な状態、そして慌てているなどの状況によっても幅広く、一様ではありません。しかしながらデザインが、それぞれの能力に十分には適合しておらず、使えなかったり、使い手が苦労したりすることはよくあることです。
 ユニバーサルデザインは、多様なニーズを持つユーザーに、公平に満足を提供できるように製品、サービス、環境や情報をデザインすること※1)です。人々の、デザインを使用する能力の多様性を理解し、そのことから生じるニーズをきめ細やかにデザインに盛り込むことで、より幅広い人々が使え、便益を享受できるデザインを目指します。

 ユニバーサルデザインの重要なポイントとして次の3つが挙げられます。

1.同等の便益
 デザインを使用する能力が異なっていても、 誰もが使えること。家族や友人と同じものを使えること。さらにそれを使うことでまわりから特別な人だとみなされるようなレッテルがないこと。そのためには、デザインは特別仕様ではなく一般のものであることが重要です。ユニバーサルデザインは人を排除せず、誰にも同等の便益を提供するものです。

2.人間中心設計(ヒューマン・センタード・デザイン)
 人々の能力の多様性から生じるニーズを理解して、それをデザインに組み込むには、作り手と使い手との協創による開発が不可欠となります。使い手(ユーザー)をユーザーニーズの専門家と位置付けた参加型の手法によって、ユーザーの理解、要求事項の抽出やデザインの評価を行います。さらに、スパイラルアップと呼ばれる開発と評価の繰り返しプロセスにより、利用可能性と利用品質を高めます。

3.グッドビジネス
 ユニバーサルデザインは、より幅広い人に使えることで市場が広がるだけでなく、その多様な能力への取り組みが開発を刺激し、より魅力的な商品を生み出すことに繋がります。そして、できる限り排除される人の少ないデザインを提供することは、企業の社会的責任として求められることでもあります。ユニバーサルデザインは、ビジネスの競争優位の重要な項目の一つとして位置付けられます。

※1) 日本人間工学会編:ユニバーサルデザイン実践ガイドライン、共立出版、2003年

前のページへ戻る